動機が愛なら


1.

親世代からすると私の暮らしって超恵まれてるのかもしれないけど、その考えは今すぐ改めてもらいたい。
いまどき高校卒業するまでにはルワンダの子供を3人育てあげるくらいのことしておかなきゃ、生きててよかったっていう達成感がないっていうか、私は売れっ子ユーチューバーくらいにお金がじゃんじゃん欲しいよー。

2.

今でもマックスで醜いのに、年を取ったらもっと醜くなるんだって。1秒ずつ私は不細工になっていく。
じゃあさ生きるって何。ねえ生きるって何。


3.

ママは私の部屋にやってきて、「うらやましいわ」ってしみじみと言う。
いやいや、私がとんでもないお嬢様みたいな扱いすんのやめてくれるかな。
「パパに感謝しなさいよ」って、パパが私(=未来)に投資しなかったら何に金使うわけ。酒? 女? ゴルフ? それこそヤバいでしょ。
むしろ私の存在(=未来の存在)に感謝して。

 4.

今日の社会科の授業は第二次世界大戦について。
特攻隊で戦死した人が、子供に送った手紙のプリントが配られた。
生まれた時、どういうつもりで名前をつけたかとか、どんなことがあってもあなたのことをずっと大切に思ってるとか、家族を大切にしなさいとか、etc,etc…。
クラスの女子の半分くらいの席から、すすり泣きが聞こえた。過呼吸で二人ぐらい気を失って椅子から落っこちた。
ねえあのさ、特攻隊ってママの時代にもいたりした?


5.

集団パニックになったクラスを、私だけが少し離れたところから見守ってた。
私たちきっと慣れてないんだろうね。愛とか、思いやりとか。
手を挙げてそんなことを言いたかった。だけど言えるわけなかった。
てか愛って何。愛ってまじで何。

戦争が起きてあの手紙が送られた世界の延長線上に自分がいることが、きゅうに恐ろしくなって、目の前が真っ暗になった。
だから私も過呼吸のふりをして椅子から思いっきり倒れたんだ。