苺にクラシック

私がお腹にいる時、母は犯罪ルポばっかり読んでて「気持ち悪いになぜか読むのをやめられなかった。死体の写真とかもみた」って聞いて、小三だった私はまじショックで人生もう一度クリーンにやり直したいって思った。

そんな最悪な胎教で生まれた私のひがみかもしれないけど、でもやっぱり「胎教でクラシック」ってそんなの鼻で笑ってたよね。
「苺にモーツァルト」とかも。
勝手にやってて(笑)みたいな。

だけど私かつてレコード屋で働いていて、来る日も来る日も一日中爆音でクラシックレコード聴いてた。

(そこで働くまでクラシックなんか聴いたことなくて、「クラシック」のことを「クラシチック」と言っていたし、モーツァルトとベートーヴェンの違いもよくわかっておらず、出世魚みたいなものだと思ってた)

むかついた瞬間は心をシャットダウンするためにクラシックのメロディを念仏的に吸い込まれるように聴いてたら、ある日突然覚醒した。
なんていうかヘレン・ケラー状態になった。

なんかわかんないけど、いままで靄がかかっていたせいで猛烈にムカついてた世界がはっきり見えてきて「はいはい、それねー!それぜんぶわかる!」みたいになって、できることが増えた。

「やばい」と「うける」の2ワードだけでこれまで生きてきたのに、いきなり語彙が爆発的に増えて、こう、言えずにもやもやしていたことがうまく言えるようになったり、ぼんやり思い描いていたことを形にできるようになったり。


まじそんなことなら胎教の時点でやっておいてもらいたかった、みんな生まれた時からできてたことが、私は二十代後半でやっとできたなんて悔しいし恥ずかしい。
だけどまあ人生回り道マイペースでやってくしかないよね。

それで私は胎教クラシックは個人的に100パーセント支持してて、妊婦の友達にはクラシックCDをプレゼントしてる。
でもやっぱ「苺にモーツァルト」はたぶん永遠にバカかよって思っちゃう。なんか。