土井善晴先生のこと

私そういえば、1か月に2回もチェキ会に行ったんだった。
チェキ会なんて、シャブパーティとかビットコインとかユーチューバーとかブラジリアンワックスとかと同じくらい、私の人生で最も関係のないワードだと思っていたのに。

1回目は料理研究家の、土井善晴先生。
土井先生に出会うまで、私は肉も野菜も全部、卵でとじることしかできなかった。
(だから一週間の卵の消費量、ロッキーかよってくらい、はんぱなかったよね)

多分10年くらい前だと思うんだけど、テレビを観ていたらNHKの「きょうの料理」に土井先生が出ていた。
メニューは卵チャーハンだった。
横で助手をしているおじさんアナウンサーが、手伝いながらも全身全霊で「早く食べたい」オーラを出していた。
それがまるで、犬に「待て」をやっている時そっくりだったので、笑った。

「食材をいじらないこと。優しくすれば勝手にほぐれていくんですわ」
先生が言った。
おじさんアナウンサーは「そんなことどうでもいいから、早く食べたい」という感じだった。

出来上がった卵チャーハンを食べているおじさんアナウンサーが、うっとりと幸せそうで、「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」とは全然違うって思った。

それが土井先生との出会い。

今私がこうして、季節の野菜とか食べてセレブっぽく生きられているのも、先生のおかげなわけ。
先生には感謝しかない。


撮ったチェキは、額に入れて台所に飾った。
写真を見るたびに、先生のことを思い出す。

撮影会みたいなものをすごくばかにしてたけど、あの日、たった数秒だけ先生とお話ししたこととか、ベッドの上に座って見たテレビの卵チャーハンのこととか、阿佐ヶ谷の家で、毎日卵でとじまくってたこととか、
写真の前で思い出が色濃く蘇ってきて、人生のいいアイテムをゲットしたなっていう感じ。


 エプロンつけて、先生の助手っぽい雰囲気出そうと思って持参したんだけど、先生に
「あなたは、家からその恰好で来たんですか?」って2回も聞かれた。