何事も経験

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何事も経験というけれど、すべてが無駄だったこと、必要のなかった苦労や我慢、犠牲は、振り返ってみてもむなしいだけだ。

そんなはずはない、きっと何か見落としている、悪い事ばかりじゃなかった、きっと恨む気持ちがほんの少しのよかった出来事を見えなくしているだけでしょう、と、思いたかった。
そんな旅だった。

10年ぶりにこの木を見たら、夢にまで出てくるこのばかみたいに成長した巨大な葉っぱを見たら、毎日飽きもせず儀式のように絶望していた日々のことを思い出し、脱力してしまった。

いい子供時代ではなかったという経験は、本当にぎりぎりの精神で生きてきたという経験は、私の弱さの一部になってしまった。

それでも私は、何事も経験という言葉が好きだし、信じたい。
この言葉を笑いながら使っている時の自分は、人生は本当に楽しくておもしろいと思っている。
そうなったのは、20代後半になってから、つい最近の話だけど。

もう二度と帰らないよ、と思いながら風景を目に焼き付けていても、またすぐに帰れるとも思っていて、恨んだって仕方がない、今は自分で優先順位をつけられるのだから、自分と愛する人の人生を一番大切にするだけだ。