美術館に行ったあと、時間を持て余していたら兄から連絡があったので、近くのカフェでお茶をした。

兄は出張と出張の合間だと言い、私のマウンテンバイクを奪い、スーツでそれに乗って、ふらふらと商店街を行ったり来たりしていた。
私はその後ろ姿をぼんやり見ていた。
兄といると、そういう時間がよくある。
「あの人何やってるんだろう、まあとりあえずここで待っておこう」という、静かで孤独な時間。


お互い、もう何十年も話し相手になっているから、相槌も答えもシンプルになる。
 「やっぱりどんな人にも長所と短所があるよね」とか「色々あったけど、みんなが幸せになればいいよね」とか「適度にストレス発散して健康的に生きていこうぜ」みたいな。

会話がヒートアップしてくると、私たちにしかわからないリズムと言語で話し始める。

私たちの会話は、小学生男子たちがバカ騒ぎしているのを横で聞いても、何を言ってるかさっぱりわからない、あんな感じになる。

三十代の兄妹が、いつもあんな感じになるのだ。