隠れてジャニーズのビデオを見ていた友達のこと

12歳か13歳の頃、学校の違う友達ができ、その子が「家に帰りたくない」というので深夜のファーストキッチンでよく一緒に時間を潰していたことがある。
(当時、私の家族は不良の道に進みかけた兄の行動しか監視していなかったので、私のことはほったらかしだった)

友達は、母親に玄関まで髪を掴まれひきずられたのだと言った。
なぜそんなに怒られたのか理由を聞くと、
「ジャニーズのビデオを見るために学校を休んだのがバレたから」
と答えた。
彼女はそんなひどい怒られ方をしてもなお、親に隠れてジャニーズのビデオを見るのだと言い、
「だって大好きなんだもん、すばる君が」
と、得意げに笑った。
「もうやめなよ。親に叩かれたりもするんでしょ」
そう聞くと、彼女はうなずき、
「でも見たいんだもん。次はうまくやるよ」
と言った。

私は、ジャニーズのビデオを隠れて見続ける友達が怖くなった。
それって髪を掴まれてひきずられてまでも、観たいものなの。
その情熱の意味がわからなかった。
彼女の親がそこまで激昂する理由も。

当時私も当然ジャニーズが好きだったが、森田剛の下敷きを眺めてうっとりしていると、兄に散々からかわれたので、誰もいない時にこっそり眺める程度にすぎなかった。

私が知っているジャニーズと、友達のジャニーズは何かが違う気がした。
彼女のせいというわけではないが、私はその頃からジャニーズに対してすっかりさめてしまった。

友達のことはあまり好きじゃなかったけど、結構な時間を一緒に過ごした。
今になって考えると、彼女に付き合ってファーストキッチンに入り浸っていたつもりだったが、実は私も家に帰りたくなかったのかもしれない。

友達とは何度かカラオケに行った。
友達はもちろんジャニーズの歌を延々と歌っていた。
私は何を歌ったのか覚えていない。

画質の悪いプリクラ、カラオケ店のロン毛の店員、コギャルへの憧れ、親に買ってもらった1900円の厚底のブーツ。
あの時代が懐かしい。
全てが変わってしまった。
時代が変わってもジャニーズはずっと変わらないでいる。

友達は年末になると壊れたテープみたいに何度も「絶対に年賀状ちょうだいよ」と言ってきた。

私は二人の今年の思い出をミルキーペンを何本も使って書き込み、プリクラを貼り、来年もよろしくねと書いて年賀状を送った。
彼女から来た年賀状に、手書きのメッセージはなかった。