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世の中には二種類の人間がいる。
飛行機に乗り遅れたことのある人間と、ない人間だ。

二リットルの冷や汗、遅れてしまったささいな原因が脳内で繰り返し再生され、
カウンターの前で立ち尽くていると空港職員の、
「あんたは初めてだからそんなにショックな顔してるのかもしれないけど、こっちは毎日そういうバカを相手に働いてんのよ!」
という冷たい目で見られながら
「次の方どうぞ」と雑に扱われるあの感じ・・・。

同じ目に遭った人たちとなら、うまくやっていける気がする。
あの強烈な絶望感と心細さを共有できる仲間となら。
わかるよ、辛かったよね。
わかるよ、自分の怠惰を責め続けたよね。

割高航空券を買い直し痛い出費に血の気を引きながら次の便を待つ間、
最悪なこの気分を旅に持ち込まないように気持ちを切り替えようと顔を上げる。

楽しむための旅なのだ。
次の便に乗り遅れる確率は、0パーセントなわけだし。
気持ち的には死んだと思ったけど、まだ生きてるじゃん、私。

これだってなんだって、記憶はいつか笑い話になるだろうと思いながら、
機内荷物の重量オーバーで外国人と職員がけんかしているのをぼんやり見る。

テレビにデーモン小暮が出ているのが目に入る。

私は今このタイミングで膝からがっくり落ちることが、今日初めての正しい行いなのかも、と、とても思ってしまったのだった。