レモンケーキのこと

 

Eちゃんにもらった、つやつやのレモンケーキを食べたら、よみがえる記憶。
十代のころ、オールしたあとに行く、スターバックス。
あの頃は本当に、理由もなく、家に帰りたくなかった。
そのことについて、誰かと話したことはなかったけど、周りの子もみんな、そんな感じだった気がする。

店に入るとスタバは、清潔でいい匂いがするから、正しい選択をしたような気分になり、そういう時は、レモンケーキと、コーヒーを買った。

スタバのレモンケーキ、まだあるのかな。

あれは、石鹸みたいですごくまずいんだけど、なぜかあの頃はいつも買っていた。
十代のころはバカだったから、いい人間になりたかったし、間違いを犯したくなかったくせに、妙に甘い部分もあり、自分の極端さに混乱していた。

博多駅前にあるスターバックスの、日当たりのいい隅っこの席に座っていた。
私は、一晩中起きていたせいで、コンタクトがカラカラに乾いた眼球で、途切れるタイミングを失った一日は、あまりにも空っぽでむなしいと思って、駅に向かうサラリーマンや学生を見ていた。

レモンケーキはティーンエイジャーの味がする。

(ところで、「レモンケーキの独特な寂しさ」というアメリカ人が書いた小説について。
食べ物を口に入れると、作った人の気持ちや生産国などすべてがわかってしまう、不思議で寂しい能力を持ってしまった女の子の話。

翻訳がひどいとアマゾンレビューで酷評されているけど、そんなこと、ありえない。

だいたい、寂しげなちびまる子ちゃんのような独特な口調で書かれていなかったら、あそこまで私の心が震えることはなかっただろう。)