わたしたちのエリックサウス!

エリックサウスが東京一おいしいカレー屋であることは間違いようのない事実で、私と彼の間では、体調が悪い時、「エリックサウスが食べれるかどうか」が基準になっている。
 幸運なことに、いまだかつて「エリックサウスさえも食べれないほど辛く苦しい」という事態に陥ることはなかった。
 もしも、エリックサウスのミールスが食べれないほど具合が悪いとすれば、それは死に直面している時であるといってもおおげさではない。

ここまでエリックサウスのおいしさを一生懸命に書いてきたけど、いくらエリックサウスだって、人間が作り出したもの。ダークサイドはある。
それは「レモンクルティ」というデザートのこと。

インドの「マンゴークルティ」というアイスをエリックサウス流にアレンジしたもので、マンゴークルティの方はすごくおいしいんだけど、なぜかレモンクルティはこれまで食べてきたものの中で一番最悪な食感なのだ。

かたいのに、ねちょねちょしてて、冷たいのにぜんぜん溶けない。味もぼんやりしている。

私はエリックサウスが大好きなので、お店のためを思い、どこがどうまずいのか、どのように改善すればよいのかをうまく説明しなければならないと思ったので、毎回「まずい、まずい」と言いながらも注文していた。

そしたらそのうちに、その粘土のような最悪な食感がくせになってしまったんだよね。

それが今日、お店に行ってメニューを見たらマンゴーの方はいつもどおりあったのだけど、レモンクルティがメニューから消えていた。
慌ててお店の人に「レモンクルティやめちゃったんですか? なんでですか?」と矢継ぎ早に質問したところ、「まあ、いずれ再開する予定です」と、なんか、「うちにそんなメニューありましたっけ?」みたいな顔で、なんでもない風に言われた。

 またいつか、会えるのだろうか? 小学校のトイレにぶら下がっていたレモン石鹸を凍らせたようなレモンクルティに。

リニューアルしたレモンクルティを食べてみたい気もするし、あの凍らせた粘土みたいな最悪なレモンクルティを「まずいまずい、前歯が死ぬ」と言いながらもう一度食べたい気もする。