田んぼは二度落ちる

おばあちゃんちで、夜の8時に自転車に乗ってたら、田んぼにころげ落ちた。
田んぼから自転車と身体を引き上げ、再び自転車に乗ったら、また落ちた。
二回目は落ち方が悪くて、血だらけになった。

おばあちゃんちに帰ったら、急に痛みと悲しみと甘えが溢れてきて、気づいたら、ぎゃんぎゃん泣いてた。
おばあちゃんは、「むげねえこって(かわいそうなこと)」と、タクシーを呼んでくれて、二人で病院へ行った。

麻酔して傷口を歯ブラシでごしごしされた。
「こうすると傷が残らない」
と病院の先生は言った。
先生は、歯ブラシでごしごししながら看護婦さんとずっと世間話をしていた。先生は、看護婦さんのことが好きっぽかった。

診察室にトンボがいた。
診察室から出ると、おばあちゃんが待合室で隣の人に、
「東京の孫が田んぼに落ちたんじゃら~」
と何度も言い、笑いをとっていた。